誰が悪いのか?

今月24日の日記で「人の人生を狂わせる事は実は容易である〜」云々書きましたが、その話の続きといいますか、日曜日の深夜に見たNNNドキュメントという番組で少し考えさせられる事があったので、この日記で紹介をしたいと思います。

最近大型トラックによる死亡事故が多発していますが、その中でも過労運転の末、居眠りによって引き起こされる事故が特に増えています。今回テレビで取り上げられた愛知県に住む阪口さん夫婦は、2年前に息子さんをトラックとの衝突事故で失いました。この事故は運転手の過労が原因だったのですが、背景には勤務する運送会社が労働基準監督署から二度にわたって改善勧告を受けていた、という悲惨な実態がありました。事故当時運転手は休みなし72時間労働という「いつ事故を起こしてもおかしくないような体力ないし精神状態だった」(会社のオフィシャルコメント)わけですが、この事件はもう1つ奥がありまして、先ごろ実施された運送業界の規制緩和がトリガーとなりこのような惨事が増加しているという現実が構えています。規制緩和はいわゆる業界内での経済的な枠組みを取っ払う(ex:電力の自由化など)事を指すのですが、規制緩和は消費者に対する利益を増大させるために行なうわけです。

以前(今年の初め頃だったと思います)TBSのある番組で「木曽街道がトラックの往来専用道路とほぼ化しており周辺住民は危険を感じている」という話題が出てきたのをふと思い出し、運送業界も生きていくためには大変だなという適当な感情しか抱いていませんでしたが、実際このような人災が多発している現状を目の当たりにして、消費者の利益のためというアクションが結果として消費者の人生を大きく狂わせてしまうという痛烈な事態へ陥っている、という悪循環に見舞われている現状を非常に憂います。

まあこの番組、そこらの低俗バラエティー番組よりかは遥かに面白くて、かなり良質な番組だと思うんで、お暇な方は一度見てみられては如何でしょうか。

オフィシャルサイト:http://www.ntv.co.jp/document/