一瞬よぎった違和感

またイラクで日本人が拉致されてしまいましたね。情報精度がまだそこまで良くないので、細部に関する事項については一切触れませんが、日本ではどうも「自業自得/自己責任」という論調が大部分を示していると思われます。1割くらいの人間は「ありゃ死んでも仕方ない」といった感じで思っていそうな気がしますが、私もつい先ほどまではそう思っていました。ただ「つい先ほどまで」です。

というのは次のような理由があります。今回のパターンは日本人がイラクへ能動的に旅立ち、度重なる渡航延期警告を無視してもそれを行ない、結果として拉致されてしまったものです。まあここらへんを根拠にして自業自得だなと思っていたのですが、少し相手を見誤ってるような気がしました。というのもこれは戦争です。リネの戦争は一応そこそこまともな人間のみで構成されているとは思いますが、現実の戦争は微視的な要素が一切無視される、巨視的な振る舞いで構築されたものです。それでもって今回拉致をしたのはテロリストですから、拉致/殺害というツールを使って対外的にメルクマールを立ち上げようと思っているのだと私は推測します。ただこれがイラクで起きてるから結構気楽に言えるわけで、これがもしも日本本土に対してテロリストが何かしらの武力行使を行ったなら、という仮定を立ち上げると、あながち自己責任と帰結させるのは少々危険な気がしました。つまりイラクで日本人が拉致されたのは「テロリストにとって、イラクにいる外国人が自分達の目的を達成するにあたって最も容易であった」だけではないかと。一言で言えばあの青年は踏み台なのではないかと。とすると、勿論行かなければいいのは当然ですが、将来にわたって予測をした場合、もしも自分達の目的を達成するに当たって日本本土へのテロが容易であると判断された場合、自分達にも何らかの被害がある可能性が十分考えられます。何が言いたいかというと、この日本人拉致の事件を自己責任でスルーしてしまった場合、対テロリズムに対して真正面から向き合っていない、及び腰な姿勢を露呈しているのではないか?ということです。

勿論このような状況においてイラクへ行くというのは危険極まりないですし、国家単位で影響が及ぼされるのは言うまでもありません。しかしよくよく考えてみるならばこれは単なる勧善懲悪で帰結されるものではなく、対テロリズム戦争です。微視的に見てみればどっちにも言い分はあるだろうと思います。だからこそ話が至極厄介になるのでしょうけども。だから、今回の日本人拉致においては自己責任で終わらせるのではなく、もしもテロリスト達が将来的に実力行為の範疇を拡大させてきた場合というのも予測した上で、この日本人拉致について判断するべきだろうと思います。ただ彼等テロリストがイラクの保守を目的に掲げているのであれば、それこそイラクに入らないのが最も賢明なのかもしれませんが。ここらへんは私自身無知ですので、少しずつブラッシュアップしていければと思います。